2007年、私は地元の工場のラインで
自動車部品の組み立て作業員をしていました。
その隣にたまたま、
中国武術を修めている先輩がいらっしゃいまして、
その方に誘われ、
翌年に北京オリンピックを控えた2007年の冬、
中国へ旅行に行ってきたのです。
最も印象に残ったのは、
当時でもほとんど失われつつあったという
「胡同」の情景でした。
フートン、
中国の下町。
そこで中国将棋に興じるおじいさんたち、
料理店で「俺が払う」「いいから俺が」と笑顔でもめるおじさんふたり、
石畳に、水を付けた筆で文字を書く紳士、見て喜ぶ子供。
不思議なものを感じました。
ふるさと、
望む光景、
寂寥。
11年。
あの町は、あの人たちは、
どう変わっただろうか。
あの町に、あの場所に立ったら、
どのように変わった自分を
私は認識するだろうか。
昨日思いがけず、
その時連れて行ってくれた先輩から連絡をいただき、
あの空気をありありと思いだしたのでした。