年賀の思いで #1

2019年が明けてはや3週間。
松の内も過ぎ、寒さも穏やかな冬です。

年末年始になると、毎年思い出すことがあります。

私が確か、小学生のころ。

父・母・姉二人、そして私が居間に集まり
正月を過ごしていました。

年賀状を仕分けながら、
この人は字がうまい、この人は読みづらい…
というような話がでていたとき、ふと

「じゃあ、この中ではだれが一番、字がうまい?」

という声が誰かから上がり、
それなら、みんなで「あけましておめでとうございます」
を書き比べてみよう、ということになったのです。

家族5人。

父は小学校の教諭、
上の姉もまた、教師を目指して大学にて学ぶ頃でした。

あけまして
おめでとうございます

私も一所懸命書きました。

5人の「あけましておめでとうございます」が揃い、
審査員は父。

個性はあれど、家族皆読みやすくきれいな字を書きました。

なかでも流石、父と、そして上の姉は
とても美しい字で、
審査の父は迷った結果、

1位:上の姉、
2位:父

と順位をつけていきました。

誰もが納得する結果。

私は…
ほとんど【審査対象外】
…でした。

こたつの上に、左から順に並べられた
みんなの「あけましておめでとうございます」

私の書いたものが、一枚だけ右端に、
離れておかれていて、
誰もその文字のことにふれない。

そんな光景を私は、
脳裏に焼き付けていました。

物心つくころ。
私の自己価値は、その一人だけ離れたところに置かれた
周囲と隔絶した低さからスタートしました。

それ以降、nTechと出会うまでのすべての判断基準は
いかに、どのように、自己価値を上げられるというのか、
ということに基づいていたのです。

つづく