祖父の命日

9月9日、重陽(ちょうよう)の節句。

暦では奇数が吉とされ、
その中でも最も大きい奇数が重なるこの日は、
一年の中で最も縁起が良い日とされています。

そんな、24年前のおめでたい日、
私の祖父は亡くなりました。

眠るように亡くなった祖父。
私はとても祖父に似ていると
よく言われます。

よく言えば真面目、
悪く言えば頑固。

しかし祖父はただ旧習を固持するだけでなく、
新しい試みに取り組んだ人でもありました。

果樹園もその一つ。
当時この地域ではあまり盛んでなかった
梨の栽培に活路を見出し、
鳥取まで出向いて苗木を譲り受け、
何人かの仲間とともにこの地域に広めたといいます。

今目の前に無いこと。

認識技術をもって
今この地で利を成そうとする私にも、
祖父の血が流れているのだなあと
感じています。

亡くなる数日前、
骨と皮ばかりになったおじいちゃんの体を
タオルで拭いた中学生の私。

あの頃感じていた、抱いていた思いは
いまきっとこのように、形になっているのだろうと、
思うのです。